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読んで良かった本、栄養になった本の記録です。

『ゲーテ格言集』/高橋健二 編訳

 

ゲーテ格言集 (新潮文庫)

ゲーテ格言集 (新潮文庫)

 

 短い言葉の中に、詰まっている心理(真理)の密度がすごい。ゲーテが残した言葉はそんな印象です。そしてこの高橋健二さんという方は本当にゲーテが好きなんだなと、たくさんの文献からこんなにたくさんの「特に素晴らしい言葉」を集めてくださったんだなと、本当に感嘆&感謝せずにはいられない。高橋さんの熱量の密度がすごい。密度×密度で昭和27年に発行して平成8年の時点で91刷。定価400円って書いてあるけど(今はどうなのかな)、400円でこんなに印象深い本が読めるのか…!とまた感嘆&感謝。いいなと思った言葉にふせんを貼っていったらとんでもない量になってしまった。読む時期でまたいいなと思う言葉は変わるんだろうな。それくらい本当にたくさんの言葉が載っていて、密度がすごいからいかようにも受け取れるというか響くツボが無限にあって、読み飽きることがなさそう。こ、これが400円で…!(エンドレス感動)

 

”豊かさは節度の中にだけある。” - p139

”人は努めている間は迷うものだ。” - p162

”気持よい生活を作ろうと思ったら、済んだことをくよくよせぬこと、滅多なことに腹を立てぬこと、いつも現在を楽しむこと、とりわけ、人を憎まぬこと、未来を神にまかせること。” - 「処世のおきて」p201

”もはや愛しもせねば、迷いもせぬ者は、埋葬してもらうがいい。” - 「最上のこと」p203

 

 

『インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法』/ジョン・ブラッドショー

 

インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法〔改訂版〕

インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法〔改訂版〕

 

 ずばりのタイトルですけど、インナーチャイルドについて詳しく知りたいと思い、図書館で借りた本。記載のワークをやってみていたことを除いても結構読むのに時間がかかった。海外の本だからか結構シビアというか、載ってる実例がつらいものも多くて、なかなか。この著者自身も結構な紆余曲折を経ていらっしゃって、なかなか。でもこの本を読んで、「(自分も他の人たちも)大人の誰もが自分の中に子どもの自分を内包していること」「自分の親も子どもだったこと」を改めて理解し、より良い消化(昇華)につながったと思います。それって当たり前のことかもしれないけど、本当にはなかなか当たり前にわかっていることではなくて、そこを理解することが「本当のあなた(私)を取り戻す」にあたりまず必要なことなんじゃないかと思います。

 

本書には様々なワークが載っていて、一人でもやれたり、誰かとやれるものでもあるので、少しずつでも試していくといいんじゃないかと。昔の自分や親を振り返るワークの数々。私はこの本の前に『ハーバードの人生を変える授業』という本に出会っていて、それは何度も読み返してためになっている本なんだけど、ちょうどこのインナーチャイルドの本を読む前に「今までつらかったことや悲しかったことを全部書き出す」的なワーク(ハーバードの方に載っているワーク)をやったばかりだったこともあって、こっちの本でのワークがちょっとしやすかったのもありました。要は、自分の人生をいかに細かく掘り起こして徹底的に湧く感情を感じ取り消化(昇華)するかが大事で、それはもうやってる途中で泣くしつらいし悲しいし悔しいし凹むし散々なんだけど、でもそうやって内側に積み重なったものを出し尽くすと「あっ…」てなるんですよね。すっきり。

 

ワークをやってもやっても、完全に出し尽くすことは無理かもしれない。人間は蓋をしたり忘れたりしてると見せかけて本当は今までの全部を記憶しているらしいから。自分では気づいてない、忘れてることも覚えているらしいから。それって終わりがないようで救いがないように思えるかもしれないけど、それでも今ひとつずつ掘り起こして、ただ見つけて感じてってするだけで、消えて行ったり、捉え方(認知)を変えることができる。それで少しずつ救われていく。自分の過去のこれが今のここに影響していたのか、ここにつながっていたのかとわかっていく。わかったら、私は結構楽になりました。何が問題かがわかれば、答えは自然とやってくるので、やっぱり何が問題かを認識することがまず大事なんだなあと改めて思いました。自分の人づきあいや仕事、人生そのものにおける癖やパターンは何なのか?どこから来ているのか?を知るには、インナーチャイルドは良いテーマだと思います。ちなみにツインレイ理論っぽいこともまた書いてあって、なんかもう本当によくできてるなーと。。。しみじみ。

『聖なる予言』/ジェームズ・レッドフィールド

 

聖なる予言 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

聖なる予言 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

 

 インナーチャイルドについての本のことを書こうと思っていたけど、今から図書館に返しに行かないといけないのでこちらを。読むのと書くのが追いついてない(^p^)読んだ順序としてはインナーチャイルド関連→この本→愛着障害、またインナーチャイルド関連→トランスパーソナル心理学セドナメソッドなどなどで今に至る。多読併読癖のためうろ覚え。

 

なんでこの本に辿り着いたか。色々あって自然と自己探求の道に入って行き、気になる本を探しては図書館に予約し、借りては読みまた探し…のループ中(それは今も)に、自然と出会いました。この自己探求モードは今も続いていて、色々勉強になって、純粋に自分を知ることが面白くもあり(自分を知る=他者を知る、闇な部分とも向き合うので平坦な道ではないけど面白い)、新しいことやもの・人との出会いも読書も楽しく、今となっては発端になった「色々あって」の「色々」に感謝しています。すべては起こるべくして起こっているんだなあと素直に理解している。その「すべては起こるべくして起こっている」を、今までの人生振り返って少しでも実感したり思い当たる節がある人には、多分いっそう面白く読めるのではないかと思う本がこの『聖なる予言』です。タイトルで拒否反応出そうな人もいるかもしれないけど^^;

 

南米の奥地で発見された古代文書をめぐる冒険ストーリーで、小説です。その古代文書には人類の叡智が予言として書かれており、この本の世界では第一から第九までの予言が発見されていて、それを探し始めることになる所からお話が始まります。海外小説は登場人物の名前(カタカナ)が覚えづらいので個人的には若干不得手な分野ですが、この本は面白かった。次に次にと読み進めるのが楽しくて、あっという間に読んでしまった。この本のストーリーの結末としては「おぉい!?」なんだけど、著者は『第十の予言』『第十一の予言』『第十二の予言』まで書いているそうなので笑、きっとうまいこと繋がっているんだろうと期待しつつまた探して読んでみようと思っています。

 

読み進めるのが楽しかったのは、ある程度自分の身に起こったことと同じことが書かれていたから。わかるわ!とか思いながらざくざく読んだりして。わからない・体験してないところももちろんあったので、それはそれで好奇心として面白かった。フィクションのストーリーが進むごとに、ノンフィクションの世界に生きる私が実感しつつ惹きこまれるってちょっとおかしいかもしれないけど、そういう読書体験ができた本は今のところこの本だけかな?不思議な体験でした。

 

読んでいた時期としてインナーチャイルド関連の本とたまたまかぶってたこともあって、探求のその先に得た実感として特に印象深かった箇所が多くありました。やっぱり必要なものは必要な時に与えられるのかあ、とまた実感。なぜこの本に行き着いたのか、なぜ読む必要があったのか、自然と人生を逆算してしまう。私は逆算したことで「あっ(豆電球ピカーン)」ってなりまして、読んでよかったなあと。

”「あなたが十分にエネルギーを得ると、あなたは準備が整って、進化に意識的に取り組み、流れ始め、あなたを前へと導いてゆく偶然の一致を起こすようになります。あなたは自分自身の進化に、特別の方法で取り組みます。まず第一に、あなたは十分なエネルギーを蓄積します。すると、あなたは自分の基本的な人生の課題、あなたの両親が与えた課題に気がつきます。この課題が、あなたの進化のための全体的な背景となっているからです。」” - p232〜233

「色々」に端を発して始まった自己探求、その途上で自然と出会った本、人、もの。同時期に読んでいたインナーチャイルドの本で昔の自分や親の事を掘り下げていたこともあって、ここは特に印象深かった。たしかこっちの本だったと思うけど(内容がシンクロしててうろ覚え…違ってるかも)、自分の両親から何を学んだと思うか、過去の両親を振り返って彼らがより良く生きれるように何とアドバイスするか、とあって、そのアドバイス=私が実行した方が良いこと(自分の人生の基本的な課題と解決策)と思い行き着いて、「あっ(目からウロコが300枚)」って気づいたのでした。親と良好な関係を築けなかった(と思っている)私には、もう本当に「あっ」って自然な流れで明瞭に腑に落ちて。あとページどこか忘れたけど、「エネルギーの場」についてもとても勉強になりました。エネルギーの奪い合い(与え合い)、コントロールドラマのこと(その辺はインナーチャイルドの本でも出ていて、また同時期にうまいことできてるなと…)。日常生活で「今奪い合ってるな」とか「今は与え合っているな」とか解るようになって、前より感情的にならなくなった気がする。読書と探求の成果だろうか。。。ツインレイの話とだぶる所もあって、「世の中は縦横無尽につながっている」をつくづく実感した本でもありました。

 

自然に行き着いたところ、自然に理解が及んだところ。無数の縁やタイミングや勘で編み上がった人生、そこで生きてきた私、これからも生きていく私。今特に思うのは、そうなるようにできていたんだし、これからもきっとそうなんだろうということです。自己探求の道も、人生の出来事も、次に何が起こるのかをなんか楽しみにしている。笑 開かれた状態というか、自然に委ねている状態。そういうのなんか良いですね。気が楽。読んでよかったなあ。(2回目)

”「次に何が起こるか直感を得たあと」と彼は続けた。「次のステップは、非常に注意深く用心することです。遅かれ早かれ偶然の一致が起こり、直感が示した方向へあなたを動かしてゆきます。私の話がわかりますか?」” - p233

(はい、とてもわかります。)

『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』/岡田尊司

冒頭にフランクルの話が少し出てきて、世の中繋がっているというか必要なものは必要な時に与えられるというか・・・(この本を読んだのはフランクルの本の後)不思議だなあとちょっと思った。それはまあ、置いといて。 

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)

 

 「子ども時代を引きずる人々」つまり自分含む世の大人の大半は愛着障害なのではないかと、内省と一読を経てとても思います。引きずるとか障害というと印象があまりよく思われないかもしれませんが、「子どもから大人になる過程で子どもを切り離した訳ではないこと」「大人の中に子どもの自分もずっといたこと」「人間関係や生き方にまつわる諸問題の癖やパターンは子ども時代に起因すること」を知ると、この本を今の世に生きる沢山の大人たちが読んだら色々良い方向に変わるんじゃないかなと思います。私がそれを知れたのはこの本だけではないけど、この本はその辺りの内省の口火を切るには十分意味と役割がある本だと思ったし、自分含めて生き辛さや人間関係の悩みを抱える人は多いんじゃないかと思って。私は、この本を読んだことで”自分がなんでこうなのか”を理解することができて、本当によかったと思っています。

 

構成の割合で言うと、愛着障害がどんなものなのか、どういうことが原因として考えられるのか、実存した人物(偉人・著名人が多く出てくる)の実例などがほとんどで、解決策にあたる部分は少なく見えるかもしれません。でも、読み進めるうちに「こういうものなのか」と知ったり自分と照らし合わせて気づくことが解決の一助になっているというか、ただ知るだけ・気づくだけでもいい(解消に向けた効果がある)という認知療法的な面を実証している気もして、良い本だなと思いました。愛着障害のタイプを診断するテストも巻末についていて、自分を知る手助けになりました。

 

この本に出会ったのは、自分に向き合っている時でもあり、ツインレイ理論を知ったあとでもありました。スピリチュアルなテーマとしてあの話は存在してるんじゃなくて、マルチバース宇宙論とか行動心理学とか愛着障害とか科学的/臨床的に実証されうるテーマでできているというか色々繋がっているというか、「半信半疑っぽいワンダーなお話」ではないんだなとこの本を読んでふと思った(気づいた?)記憶があります。(この本だけでマルチバース云々に行き着いた訳ではないのでそこはまた別!)女性で特にあの理論にハマっている人は、一度読んでみるといいかもしれない。ツインレイはドリーミーで得体の知れない不思議なお話じゃなくて、回避型依存(愛着)と不安定型依存(愛着)のペアだから起こる話なんだと、じゃあ自分や相手はどういう原因と傾向があって、だからツインレイの段階で出てくるこれやあれが必要(必然)なんだ、ということに気付くきっかけになるかもしれない。解釈は人それぞれなのでこれが正答でないかもだけど、もしツインレイ関連で苦しんでいる人がいたら、一度読んでみてはどうかと思いました。p278〜280「依存と自立のジレンマ」=サイレント期間と最終的に相手を受け入れることについて(の必要性)、のことじゃない?と個人的には思ったり。愛着障害インナーチャイルドの問題)と言う名のカルマを落とすための通過儀礼。お互いにとって。※個人的にはこの後インナーチャイルド関連の本を3〜4冊読んでさらに理解が進むきっかけになりました

愛着障害を抱えた人が良くなっていく過程において、その傷が深いほど、自分を支えてくれる人に甘えようとする一方で、(中略)わざと無視したり、怒りを示したりすることもある。” - p278

 

”この時期が、回復の過程において、もっとも重要な局面だと言える。このとき、支える側が腹を立てて、拒否的になったり、否定的な反応を返したりしたのでは、元の木阿弥になってしまう。” - p279

 

”その落とし穴に陥るか、真の回復に向かうかの境目は、この段階を乗り越えられるかどうかにかかっている。相手の反抗や離反も肯定的にとらえ、その根底にある気持ちを前向きに受け止める。そして、こちらの思い通りにならないことは、自立の証だと、むしろ祝福することなのである。” - p280

 

 

何にしても、人間関係で悩む人=世の中の大半の人は一度読む価値がある一冊だと思いました。愛着障害を自覚しようとしていまいと、子どもじゃなかった大人なんて一人もいないんだから。そして完璧な親子関係なんてない、完璧な親、完璧な自分も相手も他人もいないんだと、次第に理解できるようになる。親は親で、自分は自分で、あの人はあの人で、あの時それぞれに精一杯だったんだと。最終的にはそこに行き着けたことが、この本(とあとに続く本たちも含めて)と出会ってよかったと思う理由です。 

『人生と仕事について知っておいてほしいこと』/松下幸之助

 

人生と仕事について知っておいてほしいこと

人生と仕事について知っておいてほしいこと

 

社内イントラに、毎日一言、松下幸之助の言葉がアップされます。読むことが好きだから、と仕事の合間に読んでいると、不思議とその時にぴったりくる感じがあって、元々好きではありました。こういった自己啓発書って、好き嫌いに左右される部分って多分にあると思うんだけど、私は松下幸之助は好き。本田宗一郎も好き(前に読んだ本がよかった)。ビジネス一辺倒でない、人間らしさや温かみがあって。この本も、というか松下幸之助の言葉≒その人自身も、とても温かみがあるなあと思いました。この本の冒頭に出てくる『道をひらく』の言葉も、前に別の著書を立ち読みした時に知って、とてもいいなあと思っていたので、載っててなんだか嬉しかった。

 

読んで感じた「温かみ」-松下幸之助は、ふしぎな人だなあと思いました。彼の偉業や功績、人となりのすべてを知っている訳ではありませんが、この人の言葉はすっと入ってくる。諭すわけでもなく、叱るわけでもなく、押し付けたり強要することもなく、冷たくて固いバターにもぬるいバターにも入りこむ温かなバターナイフみたいに、本当にやわらかく「すっ」と。多分この人は許容力が半端ないのではないか。なんだか仏さまみたい。目次で見出しだけ見ると、「自分の運命を生かすことが幸せにつながる」「感謝と怖さを知らなくてはいけない」「些細なことを大切にしているか」「誠意と熱意と信念はあるか」…やめて〜ってなる人多いんじゃないかと思う。私はある、字面だけ見たら耳が痛いとか、それができたら苦労しないよとか、何かしら抗う部分が。でもそんなバターにも松下幸之助ナイフ(温)はすっと入ってくる。

”結局、一所懸命やって真理をつかまないとあかんな。”やろう”という熱意があれば、ものは生まれてくる。 - p67  17.賢さと熱意

関西の言葉づかいの効力なのか、自分に向かって説いているような語り口のせいなのかは分からないけど、彼の言葉には親しみやすさや温かみを感じるのです。こっちを責められたり、力ずくで無理矢理感はない。全編が関西の喋り言葉で綴られている訳ではなくて、標準語での語り口で綴られた項目もあります。でも、温かみがあるんだなあ。人徳って文字にも滲み出るのか。

 

この本を読んでいた当時の関心ごとに「失敗」「調和」「中庸さ」がありました。個人的な人間関係で「失敗したな」と思ったことがあり、その人とは喧嘩(にもなっていなかったけど)別れみたいになって、反省や改善要素を考えていた時だったのです。たまたまこの本でもそれらについて語られているページがあり、それがとても良い言葉であったので、尚更この本が栄養に感じられました。以下は、自分用・自分の言葉でまとめたメモ。

○世の中のすべては、対立しつつ調和している。対立はしていい、そして調和することで発展していける。言うべきことを言わないのは対立もないし、ものが生まれることもない。(p33 6.事なかれ主義では発展しない)

○行き過ぎ、極端はよくない。中庸は、何かを控えてしなさすぎることでもない。個人的には陰陽マークの中の点、もしくは中央の曲線みたいなものだと思う。(p61  15.中庸であること)

○失敗は、自分を知ってもらう良い機会。そこから調和に持っていければ、より発展的なものになると感じた。(p100  29.失敗を生かしているか)

 

他にも、ためになる部分がたくさんありました。仕事に向けて書かれてある項目でも自然と自分の人生や生活に置き換えて読むことができてーだから多分その逆(人生→仕事)も可能だと思うー、幅広く応用もできるだろうし、いろんな立場の人にいろんな響き方をするであろう本だと思いました。また時間を置いて読むのが楽しみになるような本です。

『それでも人生にイエスと言う』/V.E.フランクル

 

それでも人生にイエスと言う

それでも人生にイエスと言う

 

 こちらが先日の読書会で私が紹介した本。

フランクルの著書は、この他にもいくつか読みました。これの表紙の色違い3部作みたいなのとか、フランクルが提唱するロゴセラピーを日本で実践されている先生がまとめた本とか。代表作「夜と霧」はまだ。今のところこの『それでも人生にイエスと言う』が一番好き。表紙の色も好き。タイトルがまたとても好き。

 

心理学や精神分析関連の本を読むなら、フランクルより前の人達ーフロイトユングアドラー、おおよそ一般的にはフランクルより知名度があると思われる先人達ーの著書を先に読めばまた違ったのかもしれませんが、人間が何を軸として生きているのか、あるいは何に支配されて生きているのかについては、私にはフランクルの「意味(ギリシャ語でロゴス)」がとてもぴったりしっくりきました。同じ時期に宗教論の本も読んでいたけど、フランクルの持論に救われた部分の方が大きかった。前者も大いに勉強になりましたけれどもね。

 

私が参加している読書会では、紹介した人直筆のおすすめコメントカードと共に本がコーナーに飾られるのですが、私が書いたコメントは「どうして生きてるんだろう?何のために生きてるんだろう?その質問に答えます」。私含め、だいたいの人が一度や二度は必ず考えるようなこれらの問いに、フランクルがどう持論を述べているのかを読んでみてほしいなあと思って。割とこの本の最初の方で出てくるんだけど…。笑

 

ネタバレもいいとこだけど(すみません)、私は「自分が問われている側」という視点がまさにコペルニクス的転換で、うおーって思った。そこ本当に誰かにも読んでほしい!前述のような問いを持つ人にも持たない人にも。で、私が特に好きな箇所はこちら。

”こう考えるとまた、おそれるものはもうなにもありません。どのような未来もこわくはありません。未来がないように思われても、こわくはありません。もう、現在がすべてであり、その現在は、人生が私たちに出すいつまでも新しい問いを含んでいるからです。すべてはもう、そのつど私たちにどんなことが期待されているかにかかっているのです。その際、どんな未来が私たちを待ちうけているかは、知るよしもありませんし、また知る必要もないのです。” - p28

 

もうほんとにこの本を中学か高校の課題図書にしてほしいくらいある。笑 翻訳ならではの独特さは若干あるかもしれないけど、読みやすい方と思うし、多感な時期にこの本に出会っていたらもっと楽に生きられる子どもたちが増えるんじゃないかと勝手に思っている。もちろん、多感な大人たちにも大いにおすすめしたい一冊です。

 

第二次大戦時、陰惨たるナチスの収容所を生き延びたフランクルの持論は、あまりにピュアで意図せずとして”善”な側面もあり、読む人によっては受け入れがたい面もあるかもしれない。私は、人間の地獄を見てこそのそれだと思うと腑に落ちるところではあるんだけど、何よりこのフランクルの持論が収容中に編み出されたものではなく、収容される前から彼が考えていたもので、実際に収容中に生き延びる上での柱になり、実際に生き延びて出てこられた過程を思うとーそしてそれは彼だけではないことも含めー、”それでも人生にイエスと言える”持論の健固さを思わずにはいられません。精神病患者の臨床例や、彼が思うところのヒューマニズムなど、興味深いページも多々ありますが、私が推したい所は割と最初の方で出てきますので、ほんとに誰か読んでみてほしい。笑

読書会(8月)

1〜2ヶ月に1回、図書館で開催されている読書会に参加しています。その読書会は毎月やっていて、今年の春先に初めて参加して以来、時々参加しています。

 

その読書会は、一人1冊自由に紹介するスタイルで、世代で言うと多分30代〜60代くらいの大人の人達が多く、たまに大学生とか20代っぽい人がいらっしゃいます。男女比は半々か、少し男性が多い時も。メンバーが固定化している傾向はあるものの、みなさん読書好きなので毎回その幅広いチョイスに感嘆させられます。固定メンバーの中に一人面白い方がいて、私はとりわけその方のチョイスにしばしば驚かされます。(全国各県の県歌を集めた分厚い本を紹介したかと思うと、翌月には極薄の、社会科見学で貰えるようなパンフレットを持って来たり)

 この読書会で紹介された本が、紹介した人の手書きPOPと共に図書館内に作られた専用コーナーに掲示され、見て興味を惹かれた来館者が借りていくことになります。自分が紹介した本が借りられているのを見ると(POPと「貸出中」の札がその場に残る)嬉しいような恥ずかしいような気持ちになります。前述の極薄パンフレットもちゃんとコーナーに飾られていました。

 

今日、私が初めて参加した時に「面白そうな本だな」「プレゼンも上手で、言葉の選び方や考え方が素敵な人だな」と思った方が来られていて、しかもその方と会の後に少しお話することができて、とても嬉しかった!私が今日の読書会で紹介した本を読んだことがあるそうで、私と同じような感想をお持ちで、共有できたことがとても嬉しかった。良い方だ。。。(読書会に来られる皆さん、本当に良い方ばかり)

 その本のことは今度改めて書くとして、その方が春先の読書会で紹介されていた本を私は速攻で借りに行き、読んで面白かったので、ここに。

 

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

 

姉と弟が家出をして、ニューヨークのメトロポリタン美術館に住んでしまうという、旅に出たい&ニューヨークに行きたい&メトロポリタン美術館に行きたい(住むのは無理でも泊まりたい)私にはツボ過ぎてもう…。幼い2人がどうやって美術館で暮らすのか、どうやって最後自宅まで帰るのか(家出は家に帰るまでがセットだ)がとても面白く描かれていて、面白い推理小説を読んだ時のような「そこかー!」感が素敵でした。 だいたい、家出をして美術館に住むという発想がもう素敵だ。

 

他の人がどんな本を読んでいるのかを知れるのは本当に楽しい。自分が読んでよかった本をプレゼンするのもとても勉強になる。普段知り合えない人たちと、短い時間でも語り合えることも。読書会は私にとって栄養を得る場であり、消化をする場でもあります。