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読んで良かった本、栄養になった本の記録です。

『人生と仕事について知っておいてほしいこと』/松下幸之助

 

人生と仕事について知っておいてほしいこと

人生と仕事について知っておいてほしいこと

 

社内イントラに、毎日一言、松下幸之助の言葉がアップされます。読むことが好きだから、と仕事の合間に読んでいると、不思議とその時にぴったりくる感じがあって、元々好きではありました。こういった自己啓発書って、好き嫌いに左右される部分って多分にあると思うんだけど、私は松下幸之助は好き。本田宗一郎も好き(前に読んだ本がよかった)。ビジネス一辺倒でない、人間らしさや温かみがあって。この本も、というか松下幸之助の言葉≒その人自身も、とても温かみがあるなあと思いました。この本の冒頭に出てくる『道をひらく』の言葉も、前に別の著書を立ち読みした時に知って、とてもいいなあと思っていたので、載っててなんだか嬉しかった。

 

読んで感じた「温かみ」-松下幸之助は、ふしぎな人だなあと思いました。彼の偉業や功績、人となりのすべてを知っている訳ではありませんが、この人の言葉はすっと入ってくる。諭すわけでもなく、叱るわけでもなく、押し付けたり強要することもなく、冷たくて固いバターにもぬるいバターにも入りこむ温かなバターナイフみたいに、本当にやわらかく「すっ」と。多分この人は許容力が半端ないのではないか。なんだか仏さまみたい。目次で見出しだけ見ると、「自分の運命を生かすことが幸せにつながる」「感謝と怖さを知らなくてはいけない」「些細なことを大切にしているか」「誠意と熱意と信念はあるか」…やめて〜ってなる人多いんじゃないかと思う。私はある、字面だけ見たら耳が痛いとか、それができたら苦労しないよとか、何かしら抗う部分が。でもそんなバターにも松下幸之助ナイフ(温)はすっと入ってくる。

”結局、一所懸命やって真理をつかまないとあかんな。”やろう”という熱意があれば、ものは生まれてくる。 - p67  17.賢さと熱意

関西の言葉づかいの効力なのか、自分に向かって説いているような語り口のせいなのかは分からないけど、彼の言葉には親しみやすさや温かみを感じるのです。こっちを責められたり、力ずくで無理矢理感はない。全編が関西の喋り言葉で綴られている訳ではなくて、標準語での語り口で綴られた項目もあります。でも、温かみがあるんだなあ。人徳って文字にも滲み出るのか。

 

この本を読んでいた当時の関心ごとに「失敗」「調和」「中庸さ」がありました。個人的な人間関係で「失敗したな」と思ったことがあり、その人とは喧嘩(にもなっていなかったけど)別れみたいになって、反省や改善要素を考えていた時だったのです。たまたまこの本でもそれらについて語られているページがあり、それがとても良い言葉であったので、尚更この本が栄養に感じられました。以下は、自分用・自分の言葉でまとめたメモ。

○世の中のすべては、対立しつつ調和している。対立はしていい、そして調和することで発展していける。言うべきことを言わないのは対立もないし、ものが生まれることもない。(p33 6.事なかれ主義では発展しない)

○行き過ぎ、極端はよくない。中庸は、何かを控えてしなさすぎることでもない。個人的には陰陽マークの中の点、もしくは中央の曲線みたいなものだと思う。(p61  15.中庸であること)

○失敗は、自分を知ってもらう良い機会。そこから調和に持っていければ、より発展的なものになると感じた。(p100  29.失敗を生かしているか)

 

他にも、ためになる部分がたくさんありました。仕事に向けて書かれてある項目でも自然と自分の人生や生活に置き換えて読むことができてーだから多分その逆(人生→仕事)も可能だと思うー、幅広く応用もできるだろうし、いろんな立場の人にいろんな響き方をするであろう本だと思いました。また時間を置いて読むのが楽しみになるような本です。